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Dは競合店に比べ、店舗の立地が悪かった点がしばしば指摘され、経営的なハンデと他に、やはり急成長後破綻をしたY等、老朽化した店舗を更新できず、この問題に直面して企業全体の経営危機に陥り破綻した例は少なくない。
Dがスタートアップした1960年〜70年代は、現在とは異なり、社会におけるスーパーの地位はまったく認められていなかった。
N氏の業績が認められ、流通業界の代表として経団連の副会長に就任するのは、1990年のことである。
1995年、Dは球団経営に着手する。
ちょうどRが東北に球団を持ったように、企業として社会的に認められたのが1990年代後半であった。
ただし、そのような中でも、先に述べたビジネスモデルによって、どうしても店舗を増やさなければならない状況にあった。
先駆けフロンティア企業としての苦労である。
さらに追い討ちをかけるように、後から恵まれた条件で新規出店してくる後続企業との競争を強いられるようになった。
これら商業店舗、流通ビジネスモデルの優劣は、単に「新しいものが古いものを、大きいものが小さいものを淘汰するだけである」という問題を提起している。
店舗が大型化していく中で、店舗のリニューアルは大きな経営コストとなり、容易にはできない。
よりメガストア化していくスーパーマーケットの店舗を開発するリスクは、非常に大きくなっている。
現在隆盛を誇っている流通業のトップ企業といえども、さらに新しい競争相手になった。
したがって、大量に売るアウトレット(販売店舗)を多く、素早く必要とした。
しかし当時、まだビジネスとしてステータスがなかったDに対し、用意される店舗用地は多くなかった。
そこでDは、倒産した公設市場、町工場等の跡地に店舗を求めた。
それは表通りではなく、裏通りの、決して良いとはいえない立地店であった。
さらに1980年代のバブル経済に向かって地価が上昇し、建設コストがかさむなど、出店に関しては決して恵まれた状況になかったのである。
前述の老舗百貨店の衰退と同じように、結果的に立地の悪さ、店舗の老朽化等のデメリットでボディーブローのように業績を悪くした結果、店舗を更新するだけの資本体力が失われた。
極論を言えば、都市マネジメントにおいては、大規模商業施設の存在だけを都市の魅力としていると、大規模商業施設は市場原理で常に自然淘汰をくり返すため、そのたびに「都市の衰退」というリスクにさらされることになる。
一般に、海外の都市における中心市街地商店街の衰退問題はあまり聞くことがない。
これは、都市が日本のようにモーターリーゼーションに偏狭せず、路面電車などを有効利用して商店街へのアクセスビリティーを活用していることによるといわれている。
プレーヤーの利害関係の調整に終始した日本と、商店街の本質的な多様性の創造を議論する海外との差は明確である。
はたして店舗施設・立地を常に更新し、トップの地位を維持できるか、という問題がある。
現在のエリア開発の起源は、国鉄民営化に始まる。
国鉄民営化により旧国鉄の資産(人材・土地)の有効利用が、市場原理に基づいて始まった。
例えば品川・汐留のような土地空間だけでなく、大都市の駅舎等の大スペースが、新しい商業エリアとして1990年代後半以降、4年足らずの短期間で非常に大きな影響を持つようになった。
また、公的に管理されてきた駅舎という「器」が、民営化によりまったく新しい駅の概念へと生まれ変わった。
これによって都市のフロントが一変し、これら新興エリアと老舗のエリアによる激しいエリア間競争が繰り広げられるようになった。
鉄道施設の未利用の容積率を使ったビジネスとしては、1960年代のアメリカで、イリノイセントラル鉄道が、鉄道の空中権を使って都市開発を行った例がある。
鉄道の空中権までは行かなくとも、駅舎の空中権が、東京駅前でも遊休資産として活用され始めたわけだ。
札幌、名古屋、大阪、博多等、多くの都市フロントで、「駅」という概念が市場経済によってリライトされるようになり、新しいエリアが誕生し、従来の老舗エリアを圧倒している。
東京でも、大阪でも、名古屋でも、中心の駅とは違ったところに従来の金融・ビジネス、商業地が集まるようになってきた。
このように、ブランドプロパティのポートフォリオがエリアを作り上げる。
そして、エリアが一つのパワーブランドとして、他のエリアと激しく競争することになる。
特に銀座、原宿等の商業エリアでは、顧客の満足を高めてより多くの集客を実現し、競争優位ある高い収益性を実現しなくてはならない。
どんなにすばらしい商業ビルを作っても、その単体の資産だけで、市場の中で競争優位ある収益を実現することは難しい。
不可能ではないものの、費用対効果から見て非現実的である。
エリアのブランド力を利用してプロパティの収益を上げ、またプロパティの収益がエリアのブランドパワーに貢献する。
これらは品川等と違い、既存のコンセプトエリアの「再開発」である。
これらエリアの再開発は、単純なエリアの再構築と建物の更新ではなく、中身となるビジネスモデルの更新が必要となる。
それが2007年以降構想されている大手町の金融センター構想であり、霞ヶ関の行政エリア再開発である。
行政セクターがエリア展開している。
これらが新宿駅前エリアあるいは品川、汐留、六本木等の新しいエリア開発と市場競争を展開し始めた。
さらに市場は、その次のエリア開発を要求するようになった。
丸の内、大手町エリアに来た人たちが十分に満足をせず、他のエリアへ流出すれば、即そのエリアの収益にとって大きな損失となる。
エリアは来場者の望むすべての満足を取り込み、それ以上の満足、エリア側からいえば新しいビジネスチャンスを獲得して、はじめて高い収益を得ることができる。
マーケティング戦略における顧客の囲い込みである。
そして、このエリア内で囲い込みを実現するのが、次に解説する「回遊性」である。
回遊性の最も分かりやすい事例が、東京銀座の「銀ブラ」である。
銀座では、銀座中央通りをぶらぶらしながらウインドウショッピングを楽しみ、時には買い物をし、飲食をし、友人と交流し「ながら」その時間を楽しむ。
銀座が持つ上位イメージである「老舗」「伝統」「リッチ」を体感させてくれる通りを回遊させることによって、このようなイメージを欲する顧客を満足させる。
顧客は、イメージした通りの高品質の商品、サービス、食事時間、交流時間を体感することによって満足を得て、さらに銀座に対するロイヤリティー(忠義性)を持ち、また銀座にやって来る。
この銀座のイメージを形作っているのは、銀座エリアにある老舗の百貨店であり、ブティックであり、飲食店であり建物の景観であり、人の生業である。
さらに、エリア内におけるこれらのイメージを作り上げるプロパティの「同質性」である。
銀座の回遊性は、銀座四丁目を中心に、一丁目から八丁目までの約500m+約500mで構成される1キロ超(往復約2キロ)の通りである。
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